複雑な過去を持つ人々のふれあい、それは特別な人間関係なようで、でも、普通にあり得る人間関係のようでもある。
わかっていたつもりだった兄の過去を、時間を経て再び見直し、自分の認識との違いを見つめなおさざるを得ない弟の気持ち、そして兄弟をとりまく人間たちの思いが描写されている。それは、技巧的な描写ではなく、素直な描写なので、重いテーマのようでも素直に読み手の中に入ってくる気がする。
宮本輝といえば、自分が学生のころはよく教科書に取り上げられたりしてたのだけれど、今はどうなんだろう。有名なのは『泥の河』とかあるんだけど、今考えてみると結構難しいかも。若者を背景にしたものもあるのでそれもおすすめかな。