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企業自体のコンテンツ充実を。

 中小企業が自社ビルを建てるメリットは何か。そもそも自社ビルを建てることのできる財務体質の目安がよくわからない。大手でも自社所有の不動産は運用にまわしたり売却したりと整理中。中小企業が初めて自社ビルをもつ理由は何が妥当なのか。少なくとも、福利厚生ではありえない。勢い、戦略的な意図があるわけだが、そもそも大手の景気に左右されながら10年以上も下請けに甘んじてきた会社が、一気に戦略的な経営に転じることができるのか疑問である。

 ソフトウェア開発の会社について、自社ビルを持つ理由に以下のような点を挙げる場合がある。



  ・人材の確保・集約

  ・開発作業場所の集約による生産性向上

  ・コミュニケーション効率のアップ

  etc,etc...



 しかし、これらは謳い文句でしかない。具体的な戦略を提示するならば、これらの謳い文句には裏付けが必要だ。生産性の向上、コミュニケーション効率のアップはリサーチにより数値を出すことが可能だし(机上の空論ではあるが、確立した手法があるならば実際に試してみるべきだ)、人材の確保が入れ物(建築物としての自社ビル)だけで可能であるかどうかは考えればわかること。ソフトウェア開発のみならず、モノづくり(ソフトウェア開発がモノづくりであるか否かという議論はここではしない)の仕事が入れ物を作って終わりという時代はとうの昔に過ぎ去った。マネジメントについては言うに及ばずである。



 企業としてのコンテンツは十分なのか。コレに尽きる。まず中味を充実させる。そうでなければ入れ物を活用できる裏づけが無い。中小企業のマネジメントに携わるものはこのことをまず念頭に置くべきだと思う。たとえば自社の技術力を市場に提供しきれているか。技術マーケティングに投資せず、自社ビルが欲しいという野心だけで建設を急ぐのは愚か者だ。勢いだけで、市場の流れに身を任せてやりくり経営を行ってきたのであれば、それを反省して、冷静に自社のマネジメントを見直す。自社マネジメントのRestructure。自社ビルのConstructureよりも優先度が高いことだと思う。