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『アヒルと鴨のコインロッカー』

伊坂 幸太郎
アヒルと鴨のコインロッカー
 伊坂幸太郎は初めて読む。ミステリーと言っても、本当に最近のミステリーは昔のミステリーとは随分違うんだなと思う。トリックよりも人間の内面がすごく前面に出てるように思える。

 本作は、現在と二年前の出来事をリンクさせながらストーリーが展開する。2つの時間が交互に章立てされている、シンプルな構成。けれども、驚きも程よいし、書き方がトリッキーじゃないので、すごく読者にやさしくなっている。

 復讐というストーリーは、最近のトレンドでもあるかもしれない。死刑廃止の賛否両論や、刑の軽重についての論議も高まりつつあるわけだし、復讐心に燃える被害者や家族の言動も普通にメディアの波に乗る。理性的ではいられないのが人間なのかも知れない。本作のストーリーにも、ミステリーとしての驚きよりも、そういった人間味をより感じるように思う。