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『物語の体操』

大塚 英志
物語の体操―みるみる小説が書ける6つのレッスン

 小説を書きたいという人は多いが、実際に書いてみる人は少ない。きっかけや書き出しがわからないというなら本書はオススメ。

 物語を作るのには才能はいらないということで、講義のかたちで書かれているので読みやすい。実際の講義を収録したのもかどうかは忘れたが、その筋の専門学校での講義ということで教材なども具体的。その主張には「?」という箇所もあるが、まず手を動かして書いてみようと思って書けるようになるのではないか。

 村上龍村上春樹の小説についての説明が特に面白かった。村上龍について「「文学」」とは全く異なるゲームやコミック寄りの技術論で彼の「文学」を作り出している」と述べてみたり、村上春樹について「「仮の家」のある向こう側に主人公や登場人物が「行く」んだけれど、しかしどうにも上手く「帰って」これない、あるいは戻ってきたんだけど上手く「成長」できていない、そういうことをずっと繰り返し書いてきた」と述べてみたり。ひとつの文学論としても楽しめる。