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『クラインの壺』

岡嶋 二人
クラインの壺
 この本のすごいところは、1989年に出版されたものだということ。今のsecondlifeと概念的に同じ発想が既にあるし、技術的にはそれより上だ。五感のすべてを仮想現実の世界に放り込む発想。視覚だけではないということ。それは発想としてはまさに「全部入り」。むしろ古典的かもしれないが、現実の社会の技術はそれを追いかけている。そして、「全部入り」がもたらす弊害もしっかり書かれている。

 仮想現実がフィーバーしているが、人間の感覚のコントロールの範囲を超えているのではないだろうか。