- 井上 荒野
- だりや荘 (文春文庫 い 67-1)
三角関係のもの。だけど、ドロドロしてはいない。帯には「姉と、妹夫婦。残酷なかたちしかとれない幸福がある。」とある。
ネタバレになるが、妹夫婦の夫のほうが姉と肉体関係を持ち続ける。そして、夫は二人とも愛しているし愛する自信があるという。妹は気づいていながらも、騒ぎ立てるよりは知らずにいることで得る穏やかな空気を保とうとする。そして姉は、、、。
という内容だが、緊張たっぷりのストーリー。別にエロじゃないし、不必要に主人公が自分に酔いすぎていないところは「失楽園」などよりはマシかもしれない。「究極の愛」とやらを賛美するわけでもない。そして自然や避暑地の描写はまあまあ楽しめる。
しかし、嘘をつき続けることで得られる安らぎなど無いと思う。文章はなかなか”うつくしい”いい感じなのだが、内容がどうもね。。