読みながらチラッと思ったどうでもいいこと。
・文庫専門だと前作からの間が空きすぎる。
・主人公の「真島誠」は小説家の「川島誠」と一字違いだ。
久しぶりなので、前作までの傾向は忘れてしまったが、本作も少年VS大人の構図だが、既に少年ではなく若者といった印象。ただ、若者という言葉しっくり来ない。「少年のようにまっすぐ気持ちのままの」若者ということか。
ストーリーは4つ。
「スカウトマンズ・ブルース」
風俗スカウトマンのトラブルを書く。
悪徳スカウトグループとのトラブルから始まり、
マコトの人脈で解決するところまで。
学生あがりの悪徳スカウトの内容からして、
スーフリ事件を彷彿とさせる。
「伝説の星」
さすがの真島誠も一杯食わされてしまう。
かつての人気歌手を題材にした、
「大人なめんなよ」「オヤジなめんなよ」的ストーリー。
「死に至る玩具」
安価な労働力・人件費の安いところを求めて
中国へ進出する大企業と、その過酷な工場労働の現状を
フィクションで伝える。
社会派な問題を題材にして、
最後はお決まりのパターンでお仕置きだ。
「反自殺クラブ」
自殺問題を題材にしたもの。
「反自殺クラブ」という組織の手助けをするマコト。
これは、最後まで結論的なものは無く、
現実の自殺問題の重さを反映している感じ。
ストーリーとしては丸く治めて、再びマコトは日常へ戻る。
なんでも書いちゃう石田衣良。ただ、長編と違うのは、IWGPシリーズもここまで来ると、石田衣良本人が日々思っていることを小説の形で書いているのであろうことが伺える。題材も様々だが、それだけ社会に目を向けて思ったこと、例えば新聞を読んで思ったことなんかをIWGPを通して文章にしているんだろうと思う。
ワンパターン化も苦じゃないのはそういうある意味で「リアル」な部分も含んでいるから読んでて面白いんだろうし、IWGPファンにとってはワンパターン化もどうでもいいことだ。どんどん書き続けてほしいと思う。
ちなみに、場所をとるという単行本のネガティブ要素以外に、文庫本は解説がついてるという愉しみもあるので、まだ文庫専門でいよう。