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組織を強くする技術の伝え方

組織を強くする技術の伝え方 (講談社現代新書)

組織を強くする技術の伝え方 (講談社現代新書)

 本書では「技術」=「他の人と関係しながらものを作るやりかた」と定義する。回転ドアやエレベータ事故を例に、組織において技術が伝わらないことによる不利益をそれを防ぐためにどのように技術を伝えるべきか説く。
 既存の教育制度は形骸化してしまっているものも含めて様々あるわけだが、「伝える前」の準備が重要だということが普段は忘れがちなように思う。例えば、伝えられる側に伝えられる準備ができているのか。伝えられる側が能動的に技術を伝えられるためには、伝える側はどのように伝えればよいのか。この点を考えることに時間をかけず、流れのままに形だけ伝えるということが多いように思う。
 自分を振り返ると、最も技術が身につくやりかたというのは「自分で問題解決した(と思える)」ときだ。それは、実際は自分ひとり習得したというわけではなくて、そういう状況をつくり出すことで技術を伝えてくれた人のおかげなんだろうと思えてくる。問題にあたるということは、必ずしも一度で解決できるわけではなくて、失敗もありつつ解決していくわけで、そういうところも本書の内容に当てはまるところだろう。
 具体的な伝えかたもいろいろ書いているが、まず「伝える前に」という点を一番伝えられたかもしれない。