著者が「失敗」に注目するのは、そこからいかに「回復」するかということに他ならない。本当の意味で回復するとはどういうことなのか。本書は「回復」のほうに焦点をあてたようなタイトルだが、「失敗」をベースにしている内容に変わりはない。
自分としては、本書の前半部分が最も印象的だった。普段から自分が心にとめていることと同じことが書かれていたからだ。「人は誰でも失敗する。」ということ。自分が弱いということを認めること。失敗で潰れることなく回復する力は、このような考え方から生まれるということなのだ。潰れてしまっては回復するための失敗の分析ができない。極論すれば、失敗したときこそ最も冷静さが求められるのかもしれない。
文中に出てくる具体例などは、著者の本を読んでいる人であれば見慣れたものかもしれないし、特に目新しいものでもない。むしろ各章の主題部分に目を向けると、「なんとなくそう思ってた」的な内容を論理だてて書かれている。
失敗のその先へ。若さに任せて突っ走るのもよいが、遅かれ早かれ壁にぶち当たる。ぶち当たる前でも後でもきっと役立つだろう。
- 作者: 畑村洋太郎
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2009/01/16
- メディア: 新書
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