niwacchi.log

niwacchiのログ。

『哀愁的東京』

重松 清
哀愁的東京


 哀愁を書いたそうだ。東京を舞台にした人々の哀愁。描こうとしても描けない絵本作家の哀愁。それをとりまく人々の哀愁。



 ただ、最初から最後まで謎だったのが、作中の絵本が真ん中に流れる連作なのだが、当該の絵本は作中の登場人物に決して好評ではないのだ。何か引っかかる、「感動した」けれど「よかった」ではない絵本。それが、なぜ「よかった」ではないのかということがよくわからなかった。久しぶりに小説を読むのに頭使った気がする。自分には一度読んだだけではその理由がわからないのだろう。それだけに、読み応えがあったと思う。