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チルドレン

伊坂 幸太郎
チルドレン
 伊坂幸太郎の連作短編集。私は連作短編集というのは長編とイコールだと思っている。伊坂本人もそう思っているようで、本書刊行時には「短編集のふりをした長編小説」と言っていたらしい。

 本書について、一応ミステリーらしい部分といえば、トリッキーな事件描写くらいで、あとは概ね人間同士の感情の分析ややりとりがメインのように思える。その中でも、主役の一人である「陣内」という人間の描写は圧巻。行動的というべきか、彼が本書全般を通じてグイグイとストーリーを引っ張っていく感じを与える。そのおかげもあってか、とても読みやすい内容になっている。相変わらずヒューマンな部分もあるが、構成上なのか、あえて深く踏み込まないことも効果的なのだろう。重たく読み応えのあるものを期待している人は別。軽くても内容のあるものを読みたい人向け。