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派遣のリアル

門倉 貴史
派遣のリアル-300万人の悲鳴が聞こえる (宝島社新書 243)
 IT業界も派遣契約の人が多い。そして、「自由」な感じを抱いてしまいがちなのだが、その感じが甘いということを再認識させられる。

 派遣社員と正社員の賃金・待遇格差が大きいこと。これがワーキング・プアを生み出し、連鎖的に下流社会を作り出してるのではないかと思われる。派遣会社の利用の仕方も様々あるようだが、やはり人生設計の中でのひとつの通過点と見て利用するべきであり、それを人生の柱とすべき現状にはないということ。

 さらに、若年層の格差が、団塊世代が派遣として働く時代が来るにつれ、大きくなっていくということ。おそらく現状よりもさらに格差がひろがっていくことが予想されるそうだ。これは、団塊世代が人材派遣業界の需要に応えることで、若年層にそのしわ寄せが来てしまうということらしい。

 また、労働ビッグバンと呼ばれる政府政策もまた、派遣労働者にとっての救いとなる期待は薄いとのこと。高収入な派遣労働者になれるのはほんの一握りでしかない。

 実際のルポを各章のまとまりで記載していたり、各章のまとめを必ず章末に記述しているので、全体的に読みやすい。



 自分の会社にも派遣社員の人がいる。彼、彼女らはどのように思っているだろう。もし、本書のような派遣であるがゆえの負荷を抱えているようならば、まともな仕事などできないのではないだろうか。そんな状況を作ってしまっている会社が「社会に貢献云々」という社是を掲げているのだから、首を傾げてしまう。