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思春期ポストモダン

斎藤 環
思春期ポストモダン―成熟はいかにして可能か (幻冬舎新書 さ 4-1)

 知らなかったけど、著者はお医者さん。「ひきこもり」の第一人者らしい。

 本書は、ひきこもり、問題としてのニート、いじめ、登校拒否、自傷、自殺といった、若者の社会における問題について、精神的、心理学的な視点から論じたのもの。


 心理学的に細かい分類があって、例えばPTSDとDIDの分類などはその症状の違いや判断基準が書かれていたりする。心理学に興味のある人には結構面白い。新書だけど内容は濃い。


 通読するにあたって常に出てくる仮説が「病因論的ドライブ」。これは冒頭で出てくるので、読み終わるまで覚えておかないと、後ろを読んでもいまいち最後まで納得できなかったりする。簡単に言うと、「個人、社会、家族といった個々の要素を見たときに、病理は無いように見えるが、それらが関係を持つところにおいて病理がある。病気の要因がある」ということ。また、現にそういう説明が最もしっくりくるケースがあるということ。自分の「病因論的ドライブ」についての理解はこんな感じ。間違っていたら乞う指摘。いずれにしても、冒頭のこれをまず自分なりでもよいので理解して読まないと意味がないみたい。