- 奥田 英朗
- イン・ザ・プール (文春文庫)
型破りな(しかも、一般的にカッコよくない方向の)精神科医・伊良部一郎のところへ来る患者を主人公にした短編集。概ね痛快な内容だし、伊良部医師もハチャメチャなようでいて言葉の端々には妙に納得させられる。
しかし、実は結構怖い部分もあったりする。登場する患者の症状とその原因について描写がすごく現実的なのだ。SFではないのだから現実的なのは当たり前なのだが、誰にもでも起こりそうな感じなので人ごとじゃない気分にさせられる。
それにしても、伊良部医師のハチャメチャ振りはなんとなく筒井康隆の作品に出てくる登場人物と同じ匂いがするのは私だけかしら。。