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『バカ親って言うな! -モンスターペアレントの謎』

 あら、尾木直樹先生の本は久しぶりに読んだ。今は大学で教えてるんだね。最後にこの人の文章を読んだは自分は中学生だったかな。
 本書はモンスターペアレントをとりあげたもの。昨今の若い教員は話を聞く限り、自分が小中学生のころに比べてとんでもなく「こころざし」が低いらしい。しょっちゅう遅刻して教頭先生に電話で起こされるとかなんとか。就職氷河期に勉強だけできるってんで教員になってみたりとか。でも、それは一面だけだってことも本書を読めばよくわかる。モンスターペアレントに対しても必死でなんとかしようとして、不幸にも自殺してしまうほど悩みぬく人もいる。
 少し前に、自分が小学生のときの担任の先生に会う機会があったのだけど、彼は「みんなを担任していたころは、みんなのお父さんお母さんが担任を育ててくれた時代だった。」と言っていたのが印象深い。確かに今とは考えられないくらい、保護者と先生がコミュニケーションを取り合って、みんなで教育に携わってた時代だったんだなと思う。今から比べれば幸せな話だ。
 今は先生が保護者も子供も両方を育てなくてはならない状況だ。先生も人間なので、なかなかうまくはいかないだろう。まず、この状況では教員の数が少なすぎる。本書を中盤くらいまで読むとこのことはわかってくる。後半は行政の対策についての議論があるわけだが、そこはまわりくどく感じるくらいだ。教員の不祥事が増えているのは、採用のシステムが問題なのであって、数を減らす論理にはならない。公務員全般にいえるのかもしれないが、仕事量の配分が適正じゃない職業の最たるもののひとつじゃないか。それでもなお、ひとりの教員で受け持つ人数としては多すぎる学級制度の国であることは、かなり以前から言われていることを考えると、教員の数は少なすぎると考えていいだろう。モンスターペアレントと呼ばれる保護者に対して、切り捨てることなく真っ向から対峙していこうとするならなおさらだと思う。