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『魔王』

 久しぶりの伊坂幸太郎。注意として、ドラマでやってたやつとは別らしい。あれは韓国がオリジナル。コミックの魔王は伊坂幸太郎が原作なのでそっち絡むみたい。
 文庫の解説で斎藤美奈子が、

文庫で初めて『魔王』を読んだあなたは、「えーっと、えーっと、この本が出たのはいつだっけ?」と、しばし、まごついたのではないだろうか。

と書いているが、まさのそのとおりの印象と行動(単行本の刊行時期を調べた)をとってしまった。
 前半部分の主人公は、念じた言葉を特定の人物に発声させることができる力を持つことに気づく。エスパーみたいなもの。その力を、最初は偶然に、そして、故意に使い始める。しかし、そんな力を持ったのは彼だけはなかった。そして、扇動的な政治家の出現で世間の人々も変容し始める。。
 後半部分は、前半部分の主人公の弟の嫁(前半部分では弟の彼女)。弟にも何やら能力があるみたいだ。。
 前後半通じて、特殊能力を持つ兄弟が、自分の能力に気づき、それを検証していく内容が大半を占める。そして、その能力の存在の意味を考え始める。というところで物語が途切れる感じがあって、ちょい消化不良気味になってしまう。それでも舞台背景のすごいリアルなので、かなり楽しめてしまった。政治的な背景についてのメッセージの存在については、著者自身があとがきで否定しているのだが、否定しつつも、本書に置けるような舞台背景がもつ要素を意図的に採用したような書き方をしている。それが、楽しめる要因なのんだろうと思う。
Amazon.co.jp: 魔王 (講談社文庫): 伊坂 幸太郎: 本