陽気なギャングが地球を回す

伊坂 幸太郎

陽気なギャングが地球を回す

文庫で出てた。大ヒットした（してる？）らしい。名前くらいしか聞いたことなかった。最近は伊坂幸太郎の作品を読むようになったから知っているが。



　4人の一芸に秀でたメンバが銀行強盗をする。その手法は人の気持ちを巧みに先読みする、いわば心理ハックが根拠となる。作品の内容も、そういった「人の気持ちを巧み先読み」する場面が多く出てくる。そこが面白いところでもある。そして登場人物の行動をそれぞれ時間を前後に交差させて描写する手法で、ますますトリッキーな面白さを醸し出す。

　銀行強盗の話や殺人事件がストーリーのメインには感じられない。ミステリーの主題としてはありがちだが、本作の主題は果たしてそこにあるのだろうかと、疑問に思える。その書き方、書く手法こそが、本作の面白さの源泉に思える。

　これは、言うまでもなく、他の伊坂作品にも通じる私見なのだけど。